【荒廃した奥山の森へ】

 森の再生に取り組んでいる『日本熊森協会(くまもり)』のメンバーと、兵庫・宍粟市(しそう)の山林を視察しました。
              
 日本の森林は、いま、大きな問題を抱えています。

       
       
《戦後の林業政策の弊害》    
        
 『日本熊森協会』は、兵庫・西宮に本部があり、私は、顧問を務めています。
             
 日本の森林は、戦後の林業政策の弊害で、大きな問題が起きています。
        
 戦後の林業政策では、不足する住宅などの建築資材として、全国の森林に、スギやヒノキの苗が“ところ狭し”と植えられました。
         
 それから半世紀以上がたち、そのスギやヒノキは、このような姿に。

   
 不自然に整然と並んだ木々。
      
 日光を遮って、土草に日が当たらず、動物なども生息していない、不気味な感じです。
          
 このような森林が全国各地の多くを占めているんです。
    
               
《人工林がもたらす被害》
           
 これらは「人工林」と呼ばれています。
     
 全国に植えられたスギやヒノキは、その後の需要の減少もあって、多くが放置されたままになりました。
    
 特に奥山の人工林は、ほとんど手つかずです。

         
 そうなると、どうなるのか?
           
 保水力が低下し、雨のたびに表土が流され、土砂災害の発生を誘発します。

       
 写真のように、ちょっとした雨で、簡単に倒れてしまうんです。
    
 最近、温暖化の影響で、ゲリラ豪雨の発生が増えていることもあって、土砂災害のリスクも高くなってきているんです。
    
             
《自然林に戻す取り組みを》
         
 このために、熊森協会が訴えていること。
       
 それは、▽「間伐」をして、木々の間隔を保つこと、▽広葉樹林を植えるなどして、徐々に自然林に戻していくことです。
         
 それは、やろうと思えばできるところまで来ました。
         
 ことし春の国会で「森林環境税」が成立。使い道として、放置人工林を天然林へ戻していくことが盛り込まれました。
         
 協会とともに、ぜひ、全国の自治体の取り組みを後押ししていきたいと思っています。
           
 それは、協会の顧問という立場に加えて、次世代の子どもに責任を持つ「一人の親」という考えからです。
    
 秋の国会でも、しっかり訴えていくつもりです。