【休業者400万人の衝撃!】

 東京では、きょう(9日)新たに224人が新型コロナウイルスに感染し、これまでで最も多くなりました。

 この状況下、雇用環境も悪化していて、命を守り、雇用も悪化させない『二兎戦略(にと)』を可能にするのはどうしたらよいのか考えます。

《雇用悪化のペースが速い》

 まず、こちらの数値。先日総務省が発表した、5月の「労働力調査」の結果です。

 「失業者数」:198万人(10年ぶりの高水準)
 「失業率」:2.9%(3年ぶりの高水準)
 「有効求人倍率」:1.20倍(46年ぶりの下げ幅)

 こうした悪化のペースはとても早くなっています。

《失業予備軍になりうる》

 そのうえ、衝撃的なのが「休業者数」の423万人。

 「休業者」とは、雇用契約が結ばれているのに、仕事を休んでいる人のこと。

 前の年の同じ月が150万人だったので、実に274万人も増え、歴史的な多さになっています。

 就業者数は6600万人なので、働く人15人に一人が休業している計算となり、今後、職場に戻って再び仕事できるようになればよいのですが、実際のところ、失業するケースもが増えてきています。

 まさに「失業予備軍」の様相なんです。

 こうした「失業予備軍」は、非正規従業員のほうが多いように思いますが、正規にも影響が出ています。

 5月の正規従業員数は、前年同月比で1万人減ってマイナスになり、正規にも「雇用調整」の動きが出始めているのです。

《経済は止めてはいけない》

 では、どうすればよいのか?

 「緊急事態宣言」の解除から1か月以上たちますが、新しい生活様式で「3密」回避を取り入れたりしているので、経済は上向きになりません。

 そうなると、労働需要も伸びず、先ほどの休業者は「過剰人員」の状態のままで、労働市場に戻っていけないんです。

 でも、経済を止めるべきではない。

 経済活動の再開にあたって、政府は、「命か経済か」ではなくて、「命も経済も」の二兎戦略を取っています。

 アメリカ・ハーバード大が公表した「パンデミックに強い社会への道」という提言では、以下のように述べています。

 「1日500万件以上の大量検査態勢を確立し、陽性者は公的な所得補償をしたうえで隔離し、職場には、感染者がいなくて安心して働ける環境を整えていくべき」。

 その費用は、2年間で500億~3000億ドルかかるということですが、規制と緩和を繰り返し、経済が衰弱していくシナリオよりは安上がりで、多くの命と経済を救えると言います。

《PCR検査の拡充を》

 日本の検査体制は、いま、PCR検査に簡易な抗原検査まで加え、1日10万件ほどを目標にしている段階。

 今週発足した、新型コロナウイルス対策の新たな分科会では、PCR検査の拡充について、▽無症状や▽希望者の扱いを議論するということなので、ぜひ検査を増やし、感染した場合の隔離も徹底させることが必要です。

 そして、どうしても休業要請を出す必要があるときには、緊急事態宣言に伴う要請ではなく、あくまでも知事によるお願いベースで、対象限定にすべきです。

 そのうえで、政府には、企業に対する無利子・無担保の融資も、「雇用維持」を条件にするなど、雇用を守る策を考えていってほしいと思います。