【港町・神戸が目指す臨海都市】

 神戸といえば「港町」。古くから港湾都市として栄えてきました。

 そうしたなか、23年前に阪神・淡路大震災が発生。港も大きな被害を受けましたが、その後、臨海部は、1つのテーマを持って開発が進められました。              

 その臨海部を視察しました。 

 

《“知”の拠点「医療産業都市」》             

 震災後、復興を目指して、臨海部を埋め立てて造られたのが人工島の「ポートアイランド」。         

 ここには、国や民間の医療関連施設が集まって、1つの都市を形成しています。

 その名も『医療産業都市』。

 基礎研究から臨床応用、さらに産業化までの一体的な取り組みを進めることができる都市をイメージしています。

 例えば、皆さん、よくご存じのスパコン「京(けい)」や、iPS細胞を用いた再生医療の取り組みも、ここで行われていて、現在▽企業数は340社、▽働いている人も1万人近くに上ります。

 写真を見ると、窓越しに建物が見えますが、その多くも医療関連施設なんです。

 今後は、ベンチャー企業の育成にも力を入れようと、「レンタルラボ(有料で貸す実験室)」の整備も進めています(写真2枚目)。

 国としても、さまざまな技術革新に資するよう、▽医療に関わる規制の緩和や、▽研究から実用化までの迅速化などを進めていきたいと思います。

 

《「神戸空港」は大きな節目》  

 臨海部は、医療産業都市だけではありません。ポートアイランドの先には、海上空港の「神戸空港」があります。

 去年、運営権を、神戸市から、関西国際空港と伊丹空港を運営する「関西エアポート」などの3社連合に売却しました。

 これによって、4月から、これまでの市営空港から民営化され、さらに関空と伊丹を合わせた3空港の一体運営が行われるようになります。

 神戸空港には、▽発着便数や▽運用時間などの規制がありますが、それは、以前不振だった関空に配慮したためで、今では規制の必要性も薄まってきていると言えます。

 航空需要の拡大を見込める「万博」や「IR」の誘致などを見すえ、規制撤廃に向けて動き出していくことを期待しています。

 

《震災前の貨物量超えなるか》

 そして、「ポートアイランド」や「神戸空港」など一帯からなるのが「神戸港」。

 開港150年を迎えました。

 神戸港のコンテナ貨物の取扱量は、去年291万(TEUという単位です)で、震災前(292万)にほぼ並びました。   

 それでも、世界の港のすう勢は随分と変わり、トップの上海は実に3710万と、神戸港はじめ、日本の港では太刀打ちできなくなっています。

 これは、▽より大型のコンテナ船が主流になり、岸壁の水深が浅いままだと接岸できないことや、▽コンテナを積み替える中継地点、ハブ港としての役割を、ほかの国の港に取られていることが挙げられます。

 上海やシンガポールに負けないよう、戦略持って取り組んでいかなければいけません。

 

 最後の写真は神戸港にある公園「メリケンパーク」の人気スポット、『BE KOBE』のモニュメント前で撮影。『BE KOBE』は、阪神・淡路大震災から20年を機に生まれたロゴマークで、大きすぎるのでKの文字を囲みました。