【兵庫は遅くない?】

 新型コロナ対策の「特別措置法」に基づく『緊急事態宣言』について、政府は39の県で解除しました。

 解除されなかったのは、東京、大阪、兵庫など8つの都道府県。今後、さらに状況の推移を見たうえで、来週21日にも判断することになりました。

 《休業要請の解除の動き》

 この8つの都道府県では、今後の「宣言解除」を待つことなく、それぞれの都道府県知事の権限で、施設に対する「休業要請」を解除することができます。

 実際、8つのうち6つの都道府県では独自の解除基準を策定済みか、もしくは策定する予定。

 このうち、大阪府は、今月5日に基準を策定しました。

 ▽感染経路不明の新規感染者10人未満、
 ▽陽性率7%未満、
 ▽重症病床の使用率60%未満、
 
 「大阪モデル」と呼ばれ、3つとも7日間連続でクリアできれば解除するとし、おととい(14日)達成。
 
 きょう(16日)午前0時から、商業施設や映画館などの「休業要請」を解除しました。
 
    
《兵庫は直前になって公表》
 
 一方の兵庫県。

 解除基準や対象の施設は、直前になって、明らかにされました。

 (解除基準)
 ▽新規感染者数が1週間平均で5人以下、
 ▽重症病床に40床以上空きがあること、

 対象施設の一覧 ⇒ https://bit.ly/2Ly5jFb

 内容を見ると、対象施設は、大阪とほぼ同じです。
 
 再開時期は、大阪と同じくきょう(16日)なのだから、兵庫も基準を早めに発表すべきでした。
     
     
《大阪と兵庫の違い》
 
 大阪府と兵庫県の解除までの経緯をまとめました。
 ⇒ https://bit.ly/3fNMgEG
 
 大阪府は、今月5日に基準を示した「大阪モデル」を発表。
  
 その条件をクリアできるか、府民にも分かるよう、通天閣のライトアップをしていきました。
 
 そして、おととい(14日)クリア!
 
 一方、兵庫県は、解除条件を初めて示したのがきのう(14日)。
 
 そのうえで「1週間さかのぼってクリアできていた」と説明しました。
 
 どちらがよいのか?
 
 いきなり「1週間、問題なかったので、あすから緩和します」と言われても、すぐに準備ができるでしょうか。
 
 県民や事業者に予見可能性を与えるべきで、兵庫は、その特性から、特にそれが必要です。
  
  
《兵庫は県土が広くて多様性》
   
 まず、兵庫は地域が広く、地域によって感染状況がかなり違っています。
  
 感染者の数一つ取っても、神戸の276人をはじめ、主に阪神間に集中し、ほかの地域はゼロ。
 
 佐用町(さようちょう)などは、県境の岡山と生活圏は一体で、県境を挟んで岡山側の学校は休校していないのに、佐用町は休校のままです。
   
 なので、いつまで続くのか早めに知らせるべきだと思うし、兵庫のように大きな県では、地域ブロックごとの対応も必要だったと思います。

    
《中小企業調査 売上60%減は4割も》
  
 もう一つは、資金繰りに苦しむ中小企業が多いことです。
 
 兵庫県内のコロナ関連の倒産は6件で、全国5番目の多さ。

 神戸商工会議所のアンケートで、「売上が前年同月比で60%以上減少」と答えた企業は、4割以上に上ります。  ⇒ https://bit.ly/35Zmads
 
 商工会議所によると、小規模事業者や個人事業者の回答率は低いというので、実態はもっと深刻なのは明らか。
 
 さらに、兵庫は、製造業の下請けなど、資本的に弱い企業が多く、資金繰り支援は何より大切です。
   
 なので、感染拡大のリスクと経済活動のバランスをどう取っていこうとしているのか、もっと早く、県民に示してほしかったところです。
 
    
《県民への“見える化”実行を》
   
 休業要請が解除されても、まだまだ警戒は続きます。
 
 兵庫県には、県民への情報共有と戦略の明確化、判断の見える化を実行して欲しいと思います。